鳥海支部猿倉地区の壮年部、村上貢一さんは、今年の8月、ケガにより右手親指を手術することになり、「ご本尊勧請はキャンセルしたい…。」と訴えてきました。
3年前、壮年部の仲間と共に「生誕地菅沼練成」に参加した時、ご両親が大事にされた信仰とみ教えの有り難さに気づき、今後自分が受け継ぎ守っていくことを心に決め、ご本尊の継承勧請を誓願されました。
しかし実際に勧請式が近づくにつれ、簡単に考えていた自分に気づき、ご本尊勧請の尊さに尻込みしてしまいました。
以前私は、村上さんにぜひ父親の思いを知って欲しいと願って、菅沼に送り出しました。
それ以来、再び「お父さんはどんな方でしたか?」と聞かせて頂くと、ようやく重い口を開けて、つらかった思い出を話してくださいました。
そのことをきっかけに、あらためてご本尊に込められた親の想いや、自分に託された親の願いに向き合うことができ、無事に勧請式を迎えることができました。
当日は、右手に包帯を巻き不自由な村上さんを、奥さんがしっかりと寄り添い支えられ、二人並んでご本尊を拝受されました。
村上さんはあらためて優しく頼もしい奥さんの存在に感謝されました。
そして安置式のご供養中も、急に体具合が悪くなり苦しくてお経が上げられなくなった時、父を感じてくださり、「父が来てくれた。」と話し、涙が溢れました。
ここに来るまでいろいろありましたが、村上家の家族が一つになったありがたいご本尊継承勧請となりました。 合掌
鳥海支部 支部長 田口裕子