豊漁と安全を祈る
全国的に風変わりなまつりとして知られている金浦町の「掛魚まつり」は、毎年、2月4日に金浦山神社で行われています。300年以上も続く歴史あるこのまつりは、別名「鱈まつり」と呼ばれ、当日は、海上安全と豊漁を祈願し、金浦神楽の一団を先頭に、金浦漁港から地元の名産物の寒鱈を担いで町内を練り歩き、金浦山神社に奉納されます。
本荘第一支部金浦地区の佐藤家では、漁師の家から婿養子に来た勘吉さんが初代船主となりました。親から子へ、子から孫へと継承され、現在は三代目の真智夫さんと四代目の栄治郎さんが一緒に漁に出ています。これまでに二度、海で遭難した船員の救助をした経験もあり、毎月の魚霊供養と先祖供養を続けられる中、生かされている感謝をかみしめられています。また、節分会には毎年、大物の鱈を奉納して頂き、本荘道場のご宝前は一層荘厳になります。
今年の「掛魚まつり」は、コロナ禍の中で奉納も簡素化され、神社でのお祓いは神宮のみで執り行われました。「まつり」の規模は縮小されたものの、歴史は受け継がれています。
以前、一度に大勢の人が海で亡くなった出来事があり、亡くなった方々の霊を慰めるために、金浦町のはずれに人体ほどの大きな地蔵様が建立されています。船主二代目の妻である佐藤テツ子さんは、40数年前から毎年、この大きな地蔵様に鈴の緒と腹巻を寄贈され続けています。
「その昔は大シケで不漁が続いたり、漁師たちがいのちを落としたりすることもあった。漁師たちは、自分が獲った貴重な寒鱈を守護神である金浦山神社に奉納して、海の安全と大漁を祈願するようになった。」と、「まつり」の由来を語る佐藤テツ子さんは、ご高齢と思えないほどお元気で、金浦地区の組長さんとして、コツコツとたゆみなく精一杯の菩薩行にご精進されています。
合 掌