活動紹介

「八橋のおでんつぁん」に込められた親の想いを感じて

2022/03/12

皆様こんにちは。副支部長の鈴木悦子です。

三月三日桃の節句は、女の子の幸せを願ってお雛様を飾りますが、秋田第一支部包括の八橋(やばせ)地区には、男の子(長男)が産まれた時に飾る「八橋のおでんつぁん」と呼ばれ親しまれる「八橋人形」があります。「おでんつぁん」とは天神様のことで、天神信仰の菅原神社のお祭りで買い求め、家に飾りお祝いをする庶民の生活に寄り添ってきた人形です。

 

卒寿を過ぎた地区の本間理江子さん(92)は、亡きご主人が長男として産まれた時に親御さんに買って頂いた人形を今も大切に保管しています。そしてお祭りの時は、90年以上前のご主人の人形、本間さんの長男が生まれた時の人形、そして初孫長男の人形と3体並べて飾り、春の花を添えてお赤飯でお祝いをしています。

ご縁のおかげさまで、私も90年以上前のご主人の人形を見せて頂きました。本間さんは、八橋人形は嫁の親が買い求める風習だと教えてくださり、「嫁に来た時は、毎日、田畑の仕事や子育てが忙しく、ただお祭りが来たら飾るものだと思っていた。この人形に子や孫を思う両親の願いが込められていると感じるようになったのは歳を取ってから。それまでは深く思う事もなかった。」と話してくださいました。曾孫7人いる本間さんは、遊びに来た3歳になる曾孫娘が、たどたどしい言葉で「ひぃーばぁさん!ひぃーばあさん!」と呼ぶ声に元気をもらっていると笑顔いっぱいでした。

 

 

見せて頂いた人形の中に押し絵の天神様もあり、私は、幼少期に実家で目にした祖母が飾った押し絵の人形を懐かしく思い出しました。私の父も長男でしたので祖父母が父の健康と幸せを願い飾っていたのでしょう。時代は、変わっても子を思う親の思いは、変わらない、脈々と受け継がれる命の繋がりを感じた本間さんの「八橋のおでんつぁん」との出会いでした。

 

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